サブスクビジネス用語集 – 成長・売上を測る指標(LTV/ARR/MRR/Churn Rate)

サブスクビジネスの指標用語集

サブスクリプションビジネスやSaaS型ビジネスでは、ビジネスの成長を測るための指標がいくつかあります。

例えば、LTV・ARR・MRRといった指標は企業の成長、売上を測ることができます。また、商品・サービスの継続率や解約率を測る指標もあります。

これらの指標はビジネス成功にかかわる大きなポイントといえます。

いま商品・サービスを利用している顧客が、将来的にも同様に利用するとは限りません。特にサブスクリプションビジネスにおいては、新規顧客をいくら確保できたとしても、継続してもらえなければ成り立ちません。

継続的なビジネスのために、売上だけでなく、顧客の満足度を測ることも必須といえます。

今回はサブスクビジネスを行う上で知っておきたい指標に関連する用語をご紹介します。

「LTVってどんな時に使うか分からない」

「ARRとMRRは何が違うの?」

「継続率・解約率ってどうやって測るの?」

「Churn Rateって何?」

という方におススメです。

1.売上・収益の指標

1.1.LTV【Life Time Value】

LTVは「Life Time Value」の略称です。日本語に直訳すると「顧客生涯価値」となります。

取引開始から終了までに得られる利益の合計を算出するための指標です。そのため、長期間継続して購入・利用する顧客が多いほど、企業のLTVが高くなります。

サブスクリプション型ビジネスやSaaS型ビジネスを行う上で、LTVは重要な指標になります。顧客の利用状況やニーズを把握し、適切なタイミングで営業活動を行うことでLTVの向上が見込まれます。

LTVの計算には様々な種類がありますが、代表的な計算方法は下記のようになります。

LTVの計算方法

LTVを向上させるには?

  • 継続するメリットのある商品・サービスにする
  • 顧客単価を上昇させる(アップセル・クロスセル)
  • 顧客との関係を築き定期的なフォローを行う

1.2.ARR【Annual Recurring Revene】

ARRは「Annual Recurring Revenue」の略称です。日本語に直訳すると「年間経常収益」になります。

ARRは一年間に入る定額収益のことを指します。BtoBビジネスでは年間契約を結ぶ場合が多いため、ARRが重要視される場合が多いです。一年間の収益の増減を把握することで、事業の成長を数値化することが可能です。

ARRはMRR(月次の定額収益)の12倍で測ることができます。MRRについては下で説明しています。

1.3.MRR【Monthly Recurring Revenue】

MRRは「Monthly Recurring Revenue」の略称です。日本語に直訳すると「月次定額収益」になります。

MRRは毎月決まって入る収益のことを指します。主に前月と比較した際の売上・新規顧客獲得数・解約数を把握するために用いられます。サブスクリプション型ビジネスやSaaS型ビジネスなどの月単位の契約を結ぶビジネスで重要視される場合が多いです。

MRRを測るには4種類のMRRを使用します。

4種類のMRR

New MRR
 新規顧客からの追加のMRR

Expansion MRR
 既存の顧客からの追加のMRR

Downgrade MRR
 ダウングレードによって失われたMRR

Churn MRR
 解約によって失われたMRR

この4種類のMRRをもとに、当月のMRRが算出できます。

MRR=前月MRR+(New MRR+Expansion MRR-Downgrade MRR-Chum MRR)

MRRは利益だけでなく、月ごとの顧客数の増減データも使用します。そのため利益以外にも事業の分析、改善点を見つけるきっかけになる可能性があります。

1.4.ARR・MRRの違い

商品・サービスの形態によって適切な指標、ARR・MRRを使用します。年間契約の割合が多い場合はARR、月単位の契約の割合が多い場合はMRRが有用です。

2.継続率・解約率の指標

2.1.継続率

継続率とは、ある期間中に継続的に商品・サービスを利用する顧客の割合を指します。リピート率とも呼ばれます。

継続率を測ることで顧客満足度を測ることが可能です。継続率が高い場合は顧客満足度が高いと言えます。逆に低い場合は、継続率を高めるために新たな施策を考えることが重要です。

継続率の計算方法は以下になります。

(「期間終了時の顧客数」-「期間中に増えた顧客数」)÷「期間開始時の顧客数」

2.2.解約率【Churn Rate】

解約率とは、失った顧客の割合を指します。また、「解約率」は「チャーンレート」と呼ばれます。

解約率(チャーンレート)は特に顧客との継続的な契約が重視される、SaaS型ビジネスやサブスクリプションビジネスといったビジネスモデルで重要視されます。

解約率を把握することで、ビジネスが成長しているか、それとも縮小しているかを知ることが可能です。

チャーンレートの計算方法は大きく分けて2種類あります。

チャーンレートの種類

解約率が増える理由は?

  • 商品・サービスのクオリティが価格に見合っていない
  • 他社の商品・サービスへ変更した
  • 商品・サービスそのものが不要になった

2.3.レベニューチャーンレート【Revenue Churn Rate】

レベニューチャーンレートは収益ベースで算出される解約率を指します。レベニューチャーンレートはさらに「グロスレベニューチャーンレート」と「ネットレベニューチャーンレート」に分類されます。

レベニューチャーンレートは二つ以上の商品・サービスを展開している場合に有用です。

例えば、ある企業が一ヶ月1,000円のサービスと5,000円のサービスを提供した場合。5,000円のサービスを利用する顧客が解約するほうが収益への影響は大きくなります。このように大口顧客が解約した場合、収益率が大きく変化します。

レベニューチャーンレートは失った顧客の数ではなく収益で測ることによって、ビジネスの成長を測ります。

2.4.ネットレベニューチャーンレート【Net Revenue Churn Rate】

ネットレベニューチャーンレートは、顧客による商品・サービスのアップグレードやダウングレード等による増減を考慮したチャーンレートを指します。売上の予想や全体把握のために使用されます。

ネットレベニューチャーンレートの計算方法は以下になります。

(期間中の損失額ー期間中の増収額)÷期間始めの定額収益×100

2.5.グロスレベニューチャーンレート【Gross Revenue Churn Rate】

グロスレベニューチャーンレートは、商品・サービスの解約やダウングレードを考慮したチャーンレートを指します。期間中の解約数やダウングレードによって減少した利益を算出します。
グロスレベニューチャーンレートの計算方法は以下になります。

(期間中の損失額÷前期間中の経常利益)×100

2.6.カスタマーチャーンレート【Customer Churn Rate】

カスタマーチャーンレートは、顧客ベースで算出される解約率を指します。商品・サービスを解約した顧客(もしくは無料プランにダウングレードした顧客)が、一定期間内にどのくらいの割合で発生したかを示すものです。

全ての顧客が一律の料金を支払っている場合に重要視されます。また、料金プランが複数ある場合は、注意が必要です。

例えば、ある企業が一ヶ月1,000円のサービスと5,000円のサービスを提供した場合。1,000円と5,000円のサービスどちらを解約しても、解約数は1になります。大口顧客1社が解約しても1社分の解約のため小さく見えますが、収益への影響は大きい場合があります。

カスタマーチャーンレートの計算方法は以下になります。  

(期間中に減った顧客数÷当初の顧客数)×100 

料金体系は複数の場合はレベニューチャーンレート、単体の場合はカスタマーチャーンレートがよく使用されます。

まとめ

今回はサブスクリプションに関連する用語についてご紹介しました。

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