サブスクリプションビジネスのKPI(評価指標)と分析方法

財務会計ではサブスクビジネスが儲かってないように見えるワケ

サブスクビジネスでは、収益が繰り返し継続的に発生しますが、年度の途中で区切ってしまうと当該契約の一部分の計上となり、収益獲得力が過小評価されてしまいます。

サブスクビジネスは、「顧客との継続的な関係を担保」するビジネスなので、その関係性から将来に渡って繰り返し収益を得ることが約束されたビジネスとも言えるでしょう。

サブスクリプションの定義と狙い

そのため、サブスクビジネスの収益は、年度で区切るよりも、継続を見込んで評価する方が実態に即したものになると考えられます。

また、解約やダウングレードというネガティブな点についても実態を評価する上で、重要な観点になります。

財務会計の発生主義

このように、財務会計とは別の観点でサブスクビジネスを正しく評価することが重要だと思います。

サブスクビジネスを評価する指標とは?

サブスクビジネスを評価する重要な観点として、「成長性」を評価する最も重要な指標(KPI)としてARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)が挙げられます。

ARRの求め方

ARRは年度ではなく年間で計上するものですが、まずMRR(Monthly Recurring Revenue:月間経常収益)を求めて12倍するので、月単位で変動(新規参入や解約)が多いビジネス形態の場合には、MRRで評価した方が好ましい場合があります。

このARRの変動要因には、新規顧客獲得による契約増、アップグレードやクロスセル等による客単価アップ、ダウングレードによる客単価ダウン、解約による契約減といった要素があり、これらの変動指標を用いて、ビジネスの対策を講じることになります。

サブスクビジネスの分析(Subscription Analytics)

サブスクは、継続的な収益の積み上げになるので、「契約期間」「継続率」「解約率」といった従来とは異なる観点で分析することが重要になります。

Subscription Analytics

サブスク専用の分析ツールである「Subscription Analytics」では、分析するスコープを事業全体や商品単体に分けたり、年度の開始月を選択したり、売上高を定期収益と不定期収益に分けて分析し、定期収益は増減要因別を分析できます。

また、 LTV(Life Time Value)の最大化に向けて、アップグレードやクロスセルの推移を確認することもできます。

これらの観点でサブスクビジネスを分析し、改善ポイントや注力ポイントを見極めていくことが重要になってくると思います。